モンシロチョウ・絵日記コーナー










これはカブトムシ絵日記が終わったあと、1997年9月下旬〜始めたモンシロチョウの飼育記録です。 この時期、虫たちもめっきり少なくなり、新企画には何をやろうかと思いながら、町を歩いていたのですが。ちょうど台風も去って、久しぶりに日も顔をだし、その日は暖ったかな一日となっていました。

その時、目の前に一匹のモンシロチョウが飛んで来て、今日は少し暖かいからなと思いながら見ていると、アブラナ系の雑草に止まり、葉の裏側に卵を産みつけているではありませんか。

ということでそれを草ごと持ち帰り、今度はモンシロチョウ・絵日記が始まりました。







9月20日 モンシロチョウのタマゴを採取

 
町で見つけたモンシロチョウが、タマゴを産み付けた雑草の葉を良く見てみると、いくつかのとても小さな(直径0.5mm、高さ1mmくらい)、少し黄色っぽい卵が付いています。

しかしこの時期だから、かえる卵でしょうか。
実際近くにオスのチョウが飛んでいたわけでもなく、ちょっと季節を間違えて自分だけ、さなぎから出てきてしまったのかもしれません。

とにかく葉を枯らしてはいけないので、鉢受け皿に水をいれて葉をさしておきました。







9月21日 あっ!! ふんだ

 
鉢受け皿の中にふんが落ちている。そこで葉っぱを良く見てみると、なんと既に何匹かの幼虫が居るでは有りませんか。
保護色ってすごいですね。その気で見ないと全然気づきません。虫たちはこうやって身を守っています。(これってモンシロチョウの幼虫だよね)

幼虫は1令から5令へと成長していきますが、既に2〜3令のから、4〜5令のものまで合計5匹いました。

ところでチョウは春から秋にかけて、成虫−>たまご−>幼虫−>さなぎと何回か世代を繰り返します。そして冬にかかったものは、さなぎになって春を待ちます。

部屋の中の温度では、季節を間違えるものがでないとも限りませんので、鉢受け皿ごと例の飼育箱の棚に乗せて置く事にします。







9月22日 ヤッ!ヤッ!..ヤモリ!!

 
[ヤモリの写真1] [ヤモリの写真2] びっくりです。飼育箱の中になんとヤモリが居るではありませんか。

こんな東京の町中で見るのは生まれて初めてです。本当に野生のものか、誰かが飼育中に逃げられたのか判りませんが、驚きました。ちなみに私の家はそんなに古い家ではありませんよ。(笑)

そういえば家のものが飼育箱の近くで、とかげを見たと何度か言っていたのですが、これの事だったのでしょう。もしや餌の芋虫を狙ってきたのかも知れません。

条件反射的(?)に捕まえてしまったので、ついでに飼育をとも思ったのですが、ヤモリは生きたハエ、ゴキブリや芋虫等を餌とするので、今は難しそうです。
という訳で放してやりました。







9月23日 幼虫の部屋を

 
[Youchuu-no-heya 1]   
早速100円ショップで、惣菜入れのようなものを買ってきて、幼虫の部屋にする事にしました。
下にティッシュペーパーを数枚敷いて、それに霧吹きでたっぷりと水分を含ませて、中に皆さんご存知の幼虫大好物のキャベツの葉を入れて出来上がりです。

幼虫の移動には、傷つけないように小さな筆を使いました。これで安心です。







9月24日 かえった!!(4日目)

 
[1令幼虫1] [1令幼虫2] あまりに小さくて(幅0.5mm、体長2〜3mmくらいで少し透けて見えるよう)最初は全然気が付きませんでしたが、卵がかえったようです。
本当に何かなと思って虫眼鏡で見て(老眼なのかも知れませんが:笑)発見しました。

(黄色い枠の中にいますが見えますか?)

良く見てみると2匹います。早速大きなのとは別の容器に、同様の環境を作って移しました。
生命ってスゴイですよね、こんな小さな物が、あのようなチョウになるわけですから。







9月25日 すごい食欲!!

 
[食欲写真]   
例の5匹の先輩たちですが、やあすごい食欲ですよ。キャベツの葉が短期間でぼろぼろになってしまいます。

モンシロチョウの幼虫は害虫といわれていますが、本当にこれがキャベツ畑にたくさんいたら、農家の人達も大変でしょうね。
成虫はかわいいんですけどね。







9月28日 先輩がさなぎに!!

 
[さなぎ1] 5匹の先輩たちの中の1匹がさなぎ(長さ20mmくらい×幅5mmくらい)になりました。
容器のふたの方へ移動してなんか動かなくなったなと思っていたら、そのまま身体が変形してきたようです。

ご覧のようにきれいな緑色をしていて、今までの皮膚がそのままちょっと固く変化しただけのような気がします。

手で触れてみるとやはり、しっかりと糸でふたに固定されています。まだ結構暖かい日もあるのでちかぢか羽化するのでしょうか。
その時にスペースがなくて、きちっと羽化出来ないと困りますので、今度はふたを開けて立てて置くことにしました。

他のも近くに張り付いているので順にさなぎになる日も近いでしょう。







9月29日 なんか変だぞ

 
そろそろさなぎになりそうで、動かなくなっていた別のやつの身体が黒っぽく変色してきました。
病気か何かでしょうか。う〜〜〜んわからない。

だんだん色が濃くなっていくようです。もう死んでしまって居るのでしょうか。
とにかく暫く様子をみるしかありません。







10月2日 寄生虫だ!!

 
朝起きてみると黒くなった幼虫の身体がすっかりしぼんで、まわりにすごく小さな(2mmくらいの)ハエのような虫が10〜20匹程群がっていました。
それはよく、桃や、パイナップル等の甘い果実にまとわりついている奴のようです。

ファーブルによると、これはアオムシコマユバチという、モンシロチョウの卵の中に自分の卵を産み付ける虫だそうです。
この寄生中は幼虫時代を、モンシロチョウの幼虫の腹の中で過ごし、その体液を吸って育ちます。そしてチョウの幼虫がさなぎになる直前ぐらいに、体液を吸い尽くして外へ出て自分が繭を作ったあとに羽化して成虫になると言っています。

たぶん状況から考えるとこの虫に間違いないようです。







10月3日 厳しい生存競争だな!!

 
[さなぎ2] 結局先輩幼虫の中の2匹は、例の寄生虫におかされていました。
あとの2匹は似たように身体が黒くなって死にましたが、寄生虫の時とは少し違っていて、身体がしぼまずにそのまま腐ってしまった感じで、この場合は例の虫は発生しませんでした。
勉強不足でこれは何が起きたのか判りませんが、何かの病気なのかもしれません。

結果的に5匹のうち、最後までさなぎになれたのはたったの1匹だけでした。なんと厳しい生存競争でしょうか。

残った1匹のさなぎは、うっすらと羽の様なものが外からみえるようになっていますので、羽化が近いのかもしれません。







10月5日 後輩は順調に成長!!(11日目)

 
[3令幼虫1] [3令幼虫2] 卵から孵った方は順調に成長を続けています。こちらの方は産卵後すぐに採取したものなので、少なくとも寄生虫の心配はなさそうです。

幼虫は脱皮しながら大きくなっていきますが、脱いだ皮というものはあまりはっきり判りません。
私はもっときちんと残るのかと思っていたのですが、周りが糞などで汚れているせいもあって、良く探してもわからないようです。

しかし確実に大きくなっているので、間違いなくもう3〜4令幼虫となっていることでしょう。ところで同時に生まれても大きさにかなり差がでてきています。







10月9日 さなぎがチョウに!!(蛹から11日目)

 
実は私が8日から4日間程家を空けていまして、その間に羽化したらチョウを逃がしておいてと、子供に頼んでおいたのですが、やはりその間に見事モンシロチョウになったそうです。
ちょうどさなぎから11日経っていましたが、気温がもっと暖かい頃でしたら、もう少し早くに羽化するはずです。







10月10日 後輩もさなぎに!!(20日目)

 
[さなぎ3] 卵から孵った方もやっとさなぎになりました。20日目ですが、これも夏の間では2週間ぐらいと、少し早いのが普通のようです。

やはり留守中になったものでしたが、キャベツの葉の裏側で蛹化したので、葉から離すため糸を切って(12日に)前と同じく羽化しやすいように、容器の蓋の裏へ今度は両面テープで付けてやりました。

さなぎを移動する際に糸をはがそうと引っ張った時ですが、しきりにはがされまいとしっぽの様な方を左右に振っていました。

私は蛹化した後は固くなって動かないものと思っていたのですが、ちゃんと身を守る時には多少でも動けるものなのですね。
幼虫の時に触れると、丸くなって身を守るのと同じかもしれません。







10月12日 小さい方がまた・・

 
小さい方の幼虫がまた身体が黒くなって死んでしまいました。
どうも発育不全で身体の小さいものがこうなってしまうようです。考えてみると前回も同時に生まれたと仮定すると、確かに小さいものが死んでしまったのでした。

時期的にも正常な奴の方が蛹になった頃で同じですが、蛹になりきれずに死んだということなのでしょうか。
いずれにしても成虫になるには確率的にかなり低いといわざるをえないようです。







10月19日 こちらは順調に(29日目・蛹から9日目)

 
[さなぎ4] さなぎになった方は順調に経過しているようです。良く見ると内部に白い部分が出来てきました。
もしかしたら羽になる部分なのでしょうか、前回が11日めで羽化したのでこちらもそろそろなのでしょうか。

ところで冬を越すか、羽化するかの境はどこにあるのでしょうか。温度だけでなく昼の長さが関係しているいう事を読んだことが有ります。

蛹で冬を越すことを休眠といいますが、昼の長さが臨界日長という値より下がると休眠に入るようです。
この臨界日長は温度によっても変化するのですが、面白いことに若令幼虫期の日長で決まるそうです。

であれば既に羽化するかどうか決まっているはずですが、どちらになるのでしょうか。
数日前にも飛んでいるのを見かけましたので、今回もたぶん成虫となるでしょうが。







10月21日 頑張れもう少しだ!!(31日目・蛹から11日目)

 
[さなぎ6] [さなぎ5] やあ、ごらんのとおりすっかりチョウになる準備が完了したようです。

紋のついた白い羽が外からも見えており、良く見ると頭の様な所や、足らしき部分なども確認できます。

身体の色も幼虫時代のきれいな緑色から、緑がかった黒へと変化していますが、ここまでくるとやっと、あの幼虫がモンシロチョウになることが信じられるようになりますね。

なんか映画のモスラのようにも見えますが、もう羽化寸前です。
後一息頑張って欲しいと思います。

下にギザギザした布様のものが見えていますが、蛹を止めていたガムテープです。
撮影時に少しずれて見えてしまいました。







10月22日 なのはにとまれ(32日目・蛹から12日目)

 
[チョウ1] 皆さんとうとうモンシロチョウの誕生です。
今日かなり夜遅くなって(AM1時ころ)帰宅すると、子供に「お父さんチョウチョになってるよ」といわれ、みると見事きれいなチョウになっているではありませんか。

まだ羽が少しのびきっていないようにも見え、羽化してそんなに時間が経っていないようです。

案の定カメラがかなり近寄っても動こうともしません。
虫達にとっては、まさに危険な時間帯なのかもしれません。

本来であれば餌のミツを作ってこの後も飼育したいところですが、仲間がいないのではかわいそうなので、明朝に放してあげることにします。

それ迄にはきちっと飛べるようにもなっているでしょう。







10月23日 (33日目・成虫から1日目)

 
[花1] 今朝はやはり近づくとはばたいて逃げようとします。身体も昨日よりしっかりして本当に元気そうです。

今日は天気も良くて暖かくて、10月下旬の気候とは思えません。まるで羽化した昨日の晩から今日の状態を知っていたかのようです。

ちょっと名残惜しいのですが放してやると、喜んで天に向かって飛んでいったように見えました。
たくさんの仲間に会えるとよいのですが。

(実際この日には、町中で何度もモンシロチョウが飛んでいるのに出会いましたので、大丈夫だったことでしょう)









ということでめでたくこの絵日記も完了しましたが

また何か、新しいことをやってみたいと思っています。皆さん是非また見に来てください。




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